ページ本文

手を携えて走る丹波路(京都府福知山市)

 ~地域が支える市民マラソンとランナーを支える機能性スポーツ衣料~

1.はじめに

第22回福知山マラソン   

 京都府福知山市で毎年11月23日に開催される福知山マラソン。第22回となった昨年は、あいにくの秋雨にも負けず、全国各地から参加した18歳から82歳までの1万人のランナーが、紅葉に色づいた晩秋の丹波路を疾走した。年間で最大となるイベントに、ランナーの宿泊施設ともなる旅館は賑わいをみせ、会場に設けられた大テント村では地域の特産物をPRする催しも活況を呈した。

2.市民マラソンの隆盛

ジョギング・ランニング人口  

 健康志向の高まりを背景に、近年マラソンブームが盛り上がりをみせている。東京マラソン、京都マラソンを始めとする大規模「都市型マラソン」が次々と創設。ジョギング・ランニング人口は1千万人を超え、10年間で倍増したと推計されている。こうした中、地方都市ながら1万人規模の大会となる福知山マラソンは、質の高い運営やアップダウンが少なく景観の良いコースで全国のランナーの人気を集めている。第22回大会は6月より募集を開始したところ、1か月で早々と定員に達した。リピーターだけではなく、遠方から参加するランナーや、フルマラソンを初めて走るランナーも増加し、ブームの広がりを反映している。

3.地域力の活用

地域のボランティア

 福知山マラソンでは、地域のボランティアの支えが大きな力となっている。今年も2,358人もの「参加者」が「一緒に盛り上げよう」と、沿道で声援を送り、給水スポットでドリンクを手渡し、ごみを回収するなど、ランナーの激走を支えた。また、平坦なコースが続く中で、40kmを超えたゴール手前にある三段池公園への上り坂は最大の難所となっているが、地元の小学生が「応援キッズ」として手を携えて一緒に走り、温かい沿道の応援とともにランナーの最後の頑張りを後押しする。

ランナー

 地元企業も福知山マラソンを支える。協賛やボランティアへの参加のほか、福知山市に工場があるクラシエフーズ(株)はスポーツドリンクを提供し、隣の綾部市に本社があるグンゼ(株)は、スポーツクラブのインストラクターによる準備運動の指導や、完走者にプレゼントされるTシャツの製造も行っている。自らもランナーとして完走した同社のある幹部は、「発祥の地で地域貢献をしたいと考えた」という。

4.京都の繊維メーカーの活躍

ランニングイベントの模様

 最先端の衣料もランナーを支えている。福知山マラソンでも、ランニングパンツの下に機能性タイツを身に着けるスタイルが増えてきた。機能性タイツは着圧やテーピング機能によりスポーツ時の体をサポートするものであるが、マラソン時に着用すると、適度な着圧で血行を促進し疲れにくくなること、膝が左右にぶれずまっすぐに膝を前に出して走ることができるため長時間走ることができるという。このため、マラソン人口の拡大とともに、42.195kmを2時間台で駆け抜けるランナーより、4時間以上かけて完走を目指すランナーが多く身に着けるようになってきた。
 機能性タイツ市場では、下着から高付加価値の機能性タイツに進出する京都の繊維メーカーの動きも目立っている。いずれも、研究開発力や技術力を結集した製品に、ユーザーとのコミュニケーションを重視して、進化を目指している。
 (株)ワコールの機能性タイツCW-Xは、体の動きに関する長年の研究から、新しい価値を盛り込んで生まれた製品である。22年前の発売当初は、スキーのアンダーウェアとして売り出されたが、トップアスリートが着用したことから人気に火が付き、マラソンブームとともに急成長。今では、多くのランナーが身に着ける姿が見られている。マラソン大会でランナーに沿道で声援を送りながら、「下着は見えないものだけれど、タイツは自分たちの商品を着てもらっているのがわかる」と、同社の担当者は手ごたえを感じている。
 また、グンゼ(株)では、肌着の快適さを測る技術を応用して3台のカメラを使って顧客の体形の3D計測を行い、医療用タイツの製造設備を有する宮津工場で型紙に落とし、裁断・縫製し、一貫生産するカスタムメイドコンプレッションタイツの生産に取り組んでいる。体型にぴったり合っており、必要ない圧力をかけずに済むため、着心地もよいという。宮津工場では小ロット多品種の一貫生産を行う体制を敷いており、「1枚の注文でも2週間でこなす」と同工場の担当者は胸を張る。

グンゼ株式会社宮津工場

グンゼ株式会社宮津工場

5.今後の課題と展望

福知山城

 福知山マラソンの1万人の参加者のうち、京都府外からの参加者は8千人を超える。同行者も含めればさらに大勢の人が福知山を訪れていることになる。福知山市は「大会に参加してもらって終わりではなく、どれだけ観光振興に繋げられるかが重要になってくる」と話す。第22回大会では試みに、「福知山スイーツマップ」を配ったところ、地元名産の丹波栗や丹波黒豆などを使った和菓子やロールケーキなどを扱う市内菓子店の来店客も増加した。
 来る3月10日(日)には、京都市で京都マラソンが開催され、約1万5千人のランナーが都大路を駆け抜ける。マラソンを契機に、健康増進、地域の活性化、スポーツ衣料の販売促進、そして、地域の全国発信と、狙いは様々。手を携えた市民、地域、企業のそれぞれの激走を期待したい。
【関係先リンク】
(URL:http://www.gunze.co.jp/index.html (グンゼ))
(URL:http://www.cw-x.jp/ (ワコール))

PDFファイルをご覧いただくにはAdobe Reader(無償)が必要です。
ダウンロードした後インストールしてください。

Get Adobe Reader